七十二候
七十二候は、ほぼ5日ごとの気象や動植物などの季節変化を示したものです。二十四節気が、ほぼ15日ごとの季節の変化を知らせてくれるのに対し、七十二候はさらにその3分の1の短い期間に区切ってあり、より詳しく自然の移り変わりを教えてくれます。
日本では江戸時代の初期まで、古代中国でつくられた七十二候をそのまま使っていましたが、貞享改暦(1685年)のとき、渋川春海によって、日本の気候や風土に合うように修正が加えられました。
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1月
雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)
一面に積った雪の下で麦の芽が出始める
芹乃栄(せりすなわちさかう)
せりが青々と生えている
水泉動(しみずあたたかをふくむ)
泉の水には温かさが残っている
雉始
(きじはじめてなく)
きじがめすのきじを求めて鳴く
冬華(ふきのはなさく)
雪の下からふきの花が咲き出る
水沢腹堅(さわみずこおりつめる)
沢を流れている水も寒さに凍る
始乳(にわとりはじめてとやにつく)
にわとりが卵をかえすために抱く
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2月
東風解凍(はるかぜこおりをとく)
暖かい春風が吹いて氷を解かす
黄鶯
Z(こうおうけんかんす)
うぐいすが鳴き始める
魚上氷(うおこおりをいずる)
魚が解けた氷の間から姿を現わす
土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)
土が湿り気を帯びてくる
霞始靆(かすみはじめてたなびく)
春霞が棚引き始める
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3月
草木萌動(そうもくめばえいずる)
草や木が芽生え始める
蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)
冬眠していた虫が動き始める
桃始笑(ももはじめてさく)
桃の花が咲き始める
菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
菜の虫が羽化してちょうとなる
雀始巣(すずめはじめてすくう)
すずめが巣を作り始める
桜始開(さくらはじめてひらく)
桜の花が咲き始める
雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)
雷が鳴り始める
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4月
玄鳥至(つばめきたる)
つばめが南から渡って来る
鴻雁北(こうがんかえる)
かりが北へ渡っていく
虹始見(にじはじめてあらわる)
虹が見え始める
葭始生(あしはじめてしょうず)
あしが生え始める
霜止出苗(しもやみてなえいずる)
霜が止んで苗代で稲の苗が生長する
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5月
牡丹華(ぼたんはなさく)
ぼたんの花が咲くようになる
蛙始鳴(かわずはじめてなく)
かえるが鳴き始める
蚯蚓出(みみずいずる)
みみずが姿を見せ始める
竹笋生(たけのこしょうず)
たけのこが出始める
蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)
かいこがくわの葉を食べるようになる
紅花栄(べにばなさかう)
べにばなの花が咲き乱れる
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6月
麦秋至(むぎのときいたる)
麦が熟して畑が黄金色となる
螳螂生(かまきりしょうず)
かまきりが姿を見せる
腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)
腐った草がほたるに姿を変える
梅子黄(うめのみきばむ)
うめの実が黄色く色づいてくる
乃東枯(なつかれくさかるる)
夏枯草(かこそう)が枯れる
菖蒲華(あやめはなさく)
あやめの花が咲き始める
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7月
半夏生(はんげしょうず)
からすびしゃくが生える
温風至(あつかぜいたる)
暑い風が吹くようになる
蓮始開 (はすはじめてひらく)
はすの花が咲き始める
鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)
鷹の子が巣立ちのため飛ぶ練習をする
桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)
桐の花が実を結ぶ
土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)
大地がじっとりと熱を持ち蒸し暑くなる
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8月
大雨時行(たいうときどきふる)
時どき大雨が降る
涼風至(すずかぜいたる)
涼しい秋風が吹き始める
寒
鳴(ひぐらしなく)
ひぐらしが鳴く
蒙霧升降(ふかききりまとう)
濃い霧が立ち込める
綿柎開(わたのはなしべひらく)
綿を包む萼(がく)が開き始める
天地始粛(てんちはじめてさむし)
ようやく天地の暑さが鎮まる
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9月
禾乃登(こくものすなわちみのる)
稲が稔る
草露白(くさのつゆしろし)
草の葉に白い露が宿る
鶺鴒鳴(せきれいなく)
せきれいが鳴くようになる
玄鳥去(つばめさる)
つばめが南へ去って行く
雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)
雷が鳴らなくなる
蟄虫
戸(むしかくれてとをふさぐ)
虫が地中に巣ごもりする
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10月
水始涸(みずはじめてかるる)
田の水を落して稲刈りの準備をする
鴻雁来(こうがんきたる)
かりが飛来し始める
菊花開(きくのはなひらく)
きくの花が咲き始める
蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)
きりぎりすが家の内で鳴く
霜始降(しもはじめてふる)
霜が降り始める
霎時施(こさめときどきふる)
時雨が降るようになる
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11月
楓蔦黄(もみじつたきばむ)
紅葉やつたの葉が色づいてくる
山茶始開(つばきはじめてひらく)
さざんかの花が咲き始める
地始凍(ちはじめてこおる)
大地が冷えて凍り始める
金盞香(きんせんかさく)
すいせんの花が咲き始める
虹蔵不見(にじかくれてみえず)
虹が見えなくなる
朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)
北風が木の葉を吹き払うようになる
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12月
橘始黄(たちばなはじめてきばむ)
たちばなの葉が黄葉し始める
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)
天地の気が塞がって冬となる
熊蟄穴(くまあなにこもる)
熊が穴に入って冬眠する
魚群 (さけのうおむらがる)
さけが群を成して川を上って行く
乃東生(なつかれくさしょうず)
夏枯草(かこそう)が生えてくる
麋角解(さわしかのつのおつる)
さわしかの角が落ちる
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